【開催中止】第32回DG-Lab研究会のお知らせ

新型コロナウイルス感染拡大防止に伴い、本イベントは中止とさせていただきます。

次回の研究会は5月23日(土)を予定しております。

何卒、よろしくお願いいたします。

 

皆さま、DG-Lab事務局です。次回の研究会のお知らせです。
下記の日時にて開催されますので、ぜひともご参加いただきますようお願いいたします。

※今回はじめて参加を希望される方は、下記の事務局アドレスまでご連絡いただくか、下のフォームからお問い合わせいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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【日時】2020年3月7日(土)14時〜19時(*13時5分からミーティング)

【場所】長岡京市生涯学習センター(バンビオ1番館内)、6階・会議室2
(http://www.bambio-ogbc.jp/access/)

【参加費】会場費として300円

【定員】20名程度

【読書会】

「哲学とは何か」2-7 「被知覚態、変様態、そして概念」 担当:F.アツミ(Art-Phil)

ドゥルーズ=ガタリとアートへの問い:『哲学とは何か』における物質/感覚のコンポジションを中心に

「アーティストは、見者であり、生成者である」とドゥルーズ=ガタリは『哲学とは何か』において語る。アート作品は諸感覚のブロック、被知覚態と変様態の合成態として記述され、被知覚態は知覚から、変様態は変様=感情から、概念的な存在として引き離される。芸術史のアレンジメントとしても読むことのできる“Percept、Affect, et Concept”(「被知覚態、変様態、そして概念」)で展開されるメルヴィル、クレー、メシアン、プルースト、ジャコメッティなどのアーティストとその作品への言及を振り返りながら、ドゥルーズ=ガタリによるアートをめぐる問いかけを物質/感覚のコンポジション(合成=創作)という側面から検討する。本章にみられる批評的文体の魅力についても一緒に考えたい。

【研究発表】

得能 想平 『差異と反復』に関するノート(仮)

佐原浩一郎 ジル・ドゥルーズによる「呪われたもの」の解釈について

ライプニッツにおいて、一つの世界は、絶対的な必然性や決定論的なもろもろの変化から切り離せないものとして語られることを許容するような側面を持っている。ジル・ドゥルーズは、『襞』のなかでそうした傾向を認めながらも、ライプニッツにおける一つの世界がそのような必然性や決定論的なあり方のうちにとどまるものではないということを明らかにしている。そのときドゥルーズは、「呪われたもの(le damné)」と呼ばれる類の個体がそこで非決定論的な役割を果たしているということ、つまりその世界のなかに偶然性を導入するような契機を構成しているということを指摘している。本発表では、ライプニッツの呪われたものがドゥルーズにおいてどのように位置づけられるかを説明し、これを踏まえて、ドゥルーズにおける前期から後期へのライプニッツに対する評価の変化の理由を呈示する。

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第31回DG-Lab研究会レポート

1月25日、DG-Lab報告

 今年のDG-Labは読書会テーマを『哲学とは何か』に設定した。今回の読書会では『哲学とは何か』第1章「ひとつの概念とは何か」を精読した。
 平田公威氏のレジュメに基づいて、われわれは『哲学とは何か』における「概念」という概念の基本的な理解を構築しようと試みた。単純な概念はない、概念とは多様体である、といったドゥルーズによる定義、議論を検討した。また概念の持つ「共立性」や、概念と「事物の状態」との関係を捉え、『哲学とは何か』を読み進めていく上での足掛かりを得ることができた。

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 研究発表の枠では、DG-Labの発起人の一人でもある小林卓也氏の著書『ドゥルーズの自然哲学 断絶と変遷』(法政大学出版、2019年6月、以下『断絶と変遷』)の合評会を行った。小林氏による概要のプレゼンの後に、得能想平氏が特定質問者を務めた。
 小林氏によれば、『断絶と変遷』は超越論的経験論としてのドゥルーズ哲学の内に、脱人間化と非人間主義という2つの契機を区別することができる。通常、超越論的経験論は小林氏が指摘する脱人間化の哲学として理解されるような、『差異と反復』に収斂するいわば前期ドゥルーズ哲学のプロジェクトとして考えられている。小林氏はしかし、ガタリとの共著以降の時期のドゥルーズの自然哲学を、非人間主義的なもう一つの超越論的経験論として提示し、この自然哲学的な超越論的経験論の内にこそ、ドゥルーズ哲学の一つの完成をみる。
 得能氏の質問は、自然哲学と哲学史ないしモノグラフの関係を巡って、特にカント論やベルクソン論、ヒューム論に対する小林氏の精緻な分析を巡るものとなった。特にハイデガーからヴェイユマンへと通ずるカント読解上の「有限性」というテーマや、ベルクソン論における強度、多様体論の扱いに関して、適宜小林氏の議論を改めて読み解きながら議論を行った。また小林氏の提示する自然哲学の展開に関して、ある種実践的な可能性を巡る議論も交わされた。
 他の参加者からも多岐に渡る質問、議論が提出され、本合評会は参加者各々にとって極めて有意義な場となったように、報告者には思われる。

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(内藤慧)