『ドゥルーズの自然哲学 断絶と変遷』合評会および第31回DG-Lab研究会のお知らせ

今年も大変お世話になりました。

2019年、DG-Labは、出版50周年を迎えた『意味の論理学』をテーマに研究会を重ね、今月の頭にはその締めくくりとしてのイベントを開催し、無事終えることができました。みなさまのご協力により、本年度も大変充実したものになりました。まことにありがとうございました。

2020年は、ドゥルーズとガタリの『哲学とは何か』(1991)をテーマに研究会を進めていくことになりました。つきましては、新年一回目となります研究会が下記の日時にて開催されます。今回は研究会の前に、DG-Labの小林卓也が昨年発表した『ドゥルーズの自然哲学 断絶と変遷』(法政大学出版局)の合評会も併せて行います。ぜひともお気軽にご参加くださいませ。

それではみなさま、よいお年をお迎えください。

※今回はじめて参加を希望される方は、下記の事務局アドレスまでご連絡いただくか、下のフォームからお問い合わせいただきますよう、よろしくお願いいたします。

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【日時】2020年1月25日(土)14時〜19時(*13時5分からミーティング)

【場所】長岡京市生涯学習センター(バンビオ1番館内)、6階・会議室3
(http://www.bambio-ogbc.jp/access/)

【参加費】会場費として300円

【定員】20名程度

【合評会】『ドゥルーズの自然哲学 断絶と変遷』法政大学出版局(2019)

著者:小林卓也(大阪大学)
特定質問者:得能想平(大阪大学)

内容紹介:ドゥルーズ哲学には、ある断絶点が存在する。その理論的変遷が、脱人間主義から非人間主義へと転回するひとつの自然哲学の生成として体系的に描かれる。「器官なき身体」「超越論的経験論」とは何を意味するのか? 1950年代講義、1960年代にガタリとともに遂行された精神分析批判、マルクス、カント、ベルクソン解釈の精緻な読解を通じて、ドゥルーズ独自の哲学的創造の論理と行程を明らかにする気鋭の探究。(ドゥルーズの自然哲学 « 大学出版部協会

【読書会】『哲学とは何か』(担当:平田公威)

ドゥルーズ=ガタリは『哲学とは何か』において、哲学を「概念」創造のこととして定義しています。この定義はあまりにも有名ですが、その内実は容易に理解できるものではないでしょう。というのも、その定義の簡潔さとは裏腹に、「概念」なるものが、内在平面と概念的人物、オピニオンやカオスなどとの複雑な関係性とともに論じられているためです。そのような布置のなかで、「概念」とその創造について理解することが求められるわけですが、さらには、芸術や科学との複雑な関係も考慮に入れる必要があるため、読解の作業は一筋縄ではいきません。今回の読書会では、「概念」とは何であるのかを考えるために、『哲学とは何か』の第一章を取りあげますが、以上のような事情も加味して、可能なかぎり他の章の論点にも目配せをしつつ、読解の糸口を探りたいと思います。

La Philosophie de la Nature chez Gilles Deleuze

第30回DG-Lab研究会レポート

2019年11月30日(土)長岡京市中央生涯学習センターにて、第30回DG-Lab研究会が行われました。

【読書会】『意味の論理学』第16セリー;第17セリー(担当:佐原浩一郎)​

読書会は、段落ごとに読み上げたあと、佐原さんがコメントし、参加者同士で議論するという形で行われました。​
ライプニッツ哲学との関連から、とりわけ円錐と円錐曲線との類比において、「曖昧な記号」と非共可能な世界をとらえる論点などが議論されました。​
参加者からは、ヒューム論における「事情」概念と『意味の論理学』の「特異性」概念の比較、「特異性のポテンシャル」の「再形成」の内実、モナドを定義する総合的述語などに関する質問が出されました。​

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【研究発表】強度としての「第3ソナタ」――ネオ・バロック試論  発表:F.アツミ(Art-Phil)​

アツミさんの発表は、ブーレーズの第三ソナタにおける制作過程をラカンの欲望のグラフや、ドゥルーズの強度による個体化の議論と並行させて論じるというものでした。​
完全に理解できたとは言えないのですが、現代音楽の美学的な観点からドゥルーズの「併せ含み」や「モナド論をノマド論よって二重化する」という点を強調するアツミさんの解釈は、ドゥルーズのこれまで捉えられてこなかった側面を明らかにするものであるように思われました。質疑では、セリエリズムの作曲技法におけるリズム概念の位置づけなどの論点に関して議論がなされました。​

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(得能想平)