管理人(小林)の体調不良などにより、更新が遅れてしまいました。去る5月23日(土)、第3回DG-Lab研究会が開催されました(同じく長岡京にて)。
【読書会】於:創作室2(6F)14時〜
今回は山森裕毅さんをリーダーに、ドゥルーズ+ガタリ『アンチ・オイディプス』(1972)の読書会を行いました。(「器官なき身体とは?:『アンチ・オイディプス』における」)
山森さんは、『アンチ・オイディプス』に登場する概念を以下の表にまとめ、その全体的な構成を説明しされました。
その上で、「器官なき身体」をめぐるいくつかの問い、論点を挙げ、これらを検討する形で進められました。
- 器官なき身体は、「不定形の流体」「質料そのもの」のように、マテリアルな規定がなされているが、「マテリアル」とは何なのか(単なる物質性ではないように思う)。ここを検討しないといけない。
- 器官なき身体は、すべての生産がそこから発現する表面であるとされる。そのとき言われている登録・登記とは何なのか。
- 反生産とは何か?
- 器官なき身体は〈強度=0〉とされるが、ゼロ地点からどのように強度が生み出されるのか。
- 根源的抑圧とは何か。
同時期に、山森さんは江川隆男氏の『アンチ・モラリア 〈器官なき身体〉の哲学』(河出書房新社、2014年)の書評を書かれていたこともあり、本書との連関についても言及されていました。
『意味の論理学』における「器官なき身体」の位置づけ、その発生過程の違いなど、ドゥルーズ研究内部において、未ださまざまな議論が残されている部分であるように思われます。しかし、あくまでも、山森さんの関心は、逐語的に「器官なき身体」について議論すること以上に、いかにしてそれを実際の臨床の場面に用いることができるのか、現代におけるあらゆる病理形態を理解する手段として活用できるのか、ということに向けられているようでした。
次回は、ドゥルーズ+ガタリ『千のプラトー』(1980)、「6 一九四七年十一月二十八日―いかにして器官なき身体を獲得するか」を小林担当で行う予定です。
(小林卓也)