第2回DG-Lab研究会開催報告(その2)

【研究発表】

研究発表では、小林卓也による「カント批判としての発生と持続ー
前期ドゥルーズによるベルクソン哲学の存在論的読解について」と題した発表を行いました。

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発表の主旨は、『差異と反復』におけるカント批判としての「可能的経験と実在的経験」の対比、「実在の発生」という論点が、ドゥルーズによるベルクソン哲学の独自の読解からどのように生じたのかを示すことでした。当日は、以下の分析手順をとりました。

  1. 1956-57年のhypokhâgne講義、1960年の『創造的進化』第三章についての講義を参照し、ドゥルーズがベルクソンとカントを対比させる論点が、ポスト・カント派から引き継いだ「発生」という論点にあることを確認。
  2. 『ベルクソンの哲学』(1966)では、発生という論点がベルクソンの持続概念に読み込まれることで、それが主観(知性)と客観(物質、延長)の発生の原理として概念化されていることを示す。
  3. こうしたベルクソンの持続概念の存在論的な読みが、『差異と反復』の強度概念の下地となっていることを示す。(つもりでしたが、当日は論じることができませんでした。)

皆様からは、カントの統覚についての僕の解釈に批判を頂いたり、どこまでがベルクソンでどこからがドゥルーズ固有の論点なのかが不明瞭だとの指摘を頂きました。このあたり、もっと詰めて考えたいと思います。

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次回は、福尾匠さんによる「眼=カメラから眼=スクリーンへー『シネマ』における二つの受動性ー」という大変興味深いタイトルのご発表を予定しています。

(小林卓也)

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